2008年04月16日

『THE BAND'S VISIT』迷子の警察音楽隊

たいしたことではあった、のかもしれない。
乾いた砂漠に映えるソライロブルー。国を超えた不思議な交流の物語。

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ぽちっとプリーズ。

迷子の警察音楽隊
迷子の警察音楽隊

かつてエジプトの警察音楽隊がやってきた。
もう憶えている人は少ないかもしれない。
たいしたことではなかった。

この突き放したというか、なんと言うかぶっきらぼうで、だけど
「実は大したことだったのかもしれないよ」と囁いているような
オープニング・クレジットに惚れました。というか、このクレジットを
見た瞬間に私はこの映画が好きになりました。

迷子、というか間違っちゃったけど今日その間違いを訂正することができない、
というだけの状況なんですが、「もうホント…とほほ。どうしよ」みたいな
空気が彼らの迷子度を上げている。邦題がとっても気が利いているよね。

見ず知らずのおうちに言って、何言ってるかわからないけど
何だかモメてることはわかる気まずさ、電話の取り合いになっているときの
気まずさ、この映画には静かだけど心の中ではざわざわ揺れている
人たちの様子がふんわりと表現されている。

そもそも、オープニング、バスがいなくなるといつの間にか反対側に
制服を着た数人の男性が整列しているシーンからして味がある。
しかもリーダーは家族を迎えにきた人を自分の迎えだと勘違いして
一歩踏み出す。あるあるある、これ、よくあるよ。
その気まずさ、すっごくわかるー。駅では写真を撮られるんだけど、
ワカモノカーレドの制服を直してぴっしりさせているのに、目の前では
ゴミ掃除が始まっちゃったり。

とにかく「とほほ」な時間、「とほほ」な間をウマく表現してる映画だなーと
感心した。カタコト英語でしゃべるも、全部が全部英語ではなくて、
時々自分の言いたいことは自国語になるところもいい。あのイツィクの
うちでのディナーのシーンはホントありえそうで怖いくらい。
よく外国人とご飯食べることあるけど、割と自国語で話すことあるもんね。
尤もあまり悪いことは言わないけど。
英語もカタコトだからあまり込み入ったことしゃべれないわけで、そうすると
やはり会話は途切れがち。これはキマヅイよねぇ。
それにしても英語があまり得意でない(ネイティブじゃない)人たちは
私を含めてよくyou know,と言いますよね。尤も若いネイティブも使うけど
これはまたちょっと違う(笑)リーダー(団長)のカタコトな上に妙に硬い
英語もよかったー。電話のシーンなんてホント最高によかったですわ。
彼らしかったですよね、いちいちあんな風に名乗るなんて。

団長もまたいいアジを出した人でした。あんな過去を抱えているとは思わなかった。
もしかしたら彼本来のキャラとしては若者カーレドをもっと厳しくしつけたいと
思っているのかもしれないけど、そこはそれ、静かに我慢していたのかも。
歌を歌うことで、彼は耐えてきたのかもね。このオヤジ、とついつい若者から
の視点で見て悪かったよ、と段々思うわけなんだよな。
そうそう、彼はまさかのボーカリスト。そりゃあれは譲りたくないポジションだ。

若者カーレドも人恋しかった。とりあえずお得意のマイ・ファニー・ヴァレンタインを
手当たり次第に歌っちゃうお茶目なヤツ。だけど女性が興味を示している
相手には敬意を払ってるんだよね、さりげなく、パピにも指南を行い、
最初は団長に譲っている。それにしてもあの三人並んだショットはたまらなく
よかったねー。もうホント笑っちゃうよね。口で説明するより隣でやって示したほうが
わかりやすいけどそれにしたってよかった。そもそもローラースケートって(笑)
あと愛とはなんぞよ、のクダリをパピが大人しく聞いてるシーンもパピ君
凄くいい顔をしてたよね。

人と人のつながり、たとえ政治的にモメていても根本のところでは繋がっている。
何だか人恋しくもなる。

俯瞰的な構図が美しすぎるこの映画。ラストは盛大なハグもキスもなく、
何だか中途半端に手を振っている。それがまたいいアジをだしている。それがまた
この映画。完璧でした。これ。それが、この映画の「空気」だったと思うのです。

★★★★★ 迷子の迷子の。

宣伝。キーワードで映画を探せ!な別口ブログ、
ソノトキシネマ』もどうぞよろしくー。
posted by minori at 23:08| 宮城 | Comment(6) | TrackBack(4) | 映画「ま」行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
見納め映画がよい作品で何よりでしたー。
ホントにこのトホホな空気感と画的なセンスはお見事でした。
minoriちゃんもまた多様な生でカルチャーギャップ体験をいっぱいしてきてくださいー。
持ち歌は何?
Posted by かえる at 2008年04月18日 01:49
■かえるさんー。

ホント見納め映画がこれでよかったー。また時間あったら行っちゃいそうですけど(笑)にしてもあのとほほ感がたまらなく愛おしい映画でした。私もまたカルチャーショックを受けてきますよー。持ち歌用意しとかなきゃダメかなー。うーん。うーん。ナンダロ、持ち歌。今頭に浮かんだのが青雲のテーマソング。なんでっ?!
Posted by minori at 2008年04月18日 09:00
ユダヤの青年がイスラムの青年にデート指南を
受けるあたりがとても新鮮に見えました。
どちらかと言うとイスラムの方が教義に縛られ
てこの手に関しては晩熟のイメージがあったも
んで。
最後の最後で、青空の下で音楽隊による演奏シ
ーンも気持ちヨカッタです♪ (゚▽゚)v
Posted by 風情♪ at 2008年04月18日 10:12
minoriさん、こんにちは〜!
私も同じでした〜☆
>オープニング・クレジットに惚れました。というか、このクレジットを見た瞬間に私はこの映画が好きになりました。

イスラエルとかエジプトの映画って、そうそう色々見れないのもあって、内容以外にも、風景とか出演される人達とか、、、etc ソソられる部分が一杯ある映画でした。
もしかしたら、2008年度のお気に入り映画ベスト10に入れちゃうかも(気が早いな・・まだ4月なのに)
Posted by latifa at 2008年04月19日 10:53
■風情♪さま。

こんにちわー。
デート指南はほのぼのしててよかったですよねー。
エジプトの男性は一体どういう感じなんだろうーっと思いましたが
中にはこういうタイプの人がいるんですね(笑)
青空の下の音楽はよかったですねー。あのおじさんがあんな風に
歌うなんてかなり予想外でしたよ(笑)
Posted by minori at 2008年04月19日 12:10
■latifaさん。

こんにちわ!オープニング、よかったですよね。笑えたものー。
そうそう、このあたりの映画ってなかなか観れないですからね。
貴重ですよね。もっとシビアなお話だったりするイメージなので
こんなほのぼのとほほな映画があるなんてね。意外でした。
私もお気に入り映画、かなり入れたい感じです。
入っているかも、既に!
Posted by minori at 2008年04月19日 12:10
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