2005年11月05日

『ネクロポリス 上巻』 文字を映像に。

読むことによって視覚、ビジュアル化して世界観が形成されていく。

恩田さんの作品は「本による醍醐味」と言えるビジュアル化が
安易に行える数少ないいい作家さんだと私は思う。

今回の「ネクロポリス」の上下巻も視覚、時には嗅覚に
刺激をおこす作品でした。とってもよかったです。

ネクロポリス 上
ネクロポリス 上


物語の舞台は、アナザー・ヒル。そこは英国による植民地支配後、日本の文化が移入した歴史をもつ極東の島国V.ファーの聖地で、死者たちが実体ある存在として現世に還ってくるというのだ。そして、死者たちが現われる「ヒガン」という祝祭の期間、V.ファーの国民は、彼らを『お客さん』として温かく迎えることが風習となっている。

英国と日本の文化や風習が奇妙に混ざり合うV.ファーの国民は、みな「推理好き」で、「ゴシップ好き」。そこに今年は、「切り裂きジャック」ならぬ「血塗れジャック」という連続猟奇殺人事件が世間を賑わせ、誰もが犯人探しに躍起になっていた。


公式サイトはこちら

予備知識も何にもなく読み始めたこの本。
私は今までに確かに幾度か人の「死」を感じて生きてきたけれど、
私は彼らにとっての単なる「通過点」であり、「転機」ではなかったはずだ。
父方の祖父は亡くなっているけど、私は初孫ではないし、
一緒に住んでいたわけでもない。
帰省して祖父の顔を見た瞬間に火がついたように泣いていた孫だから
祖父にとってはいい気持ちがしなかっただろうし、
私に何の言い訳もさせないうちに
(尤も今となってはどうして泣いてたかわからない)
いなくなってしまった。

だけど、「死」を痛切に体感した人々にとっての
この地での「ヒガン」は大きな意味を持つ。
なぜなら彼らに彼らの姿のままで会うことができるからだ。
アナザー・ヒルはそんな地。

始まりは主人公、ジュンイチロウとほぼ同じ視点で始まる。
つまり「ヒガン」についてよくわかっておらず、
流されるままにスローボートに乗り込むことになるからだ。
よくしゃべるあまりよくしらない親戚たちから一歩距離を置いて、
不思議な世界へと向かう。
勿論『お客さん』にもあったことがないから、
一体彼らがどういう姿をしているかわからないし、
どういう風に出逢うのかもわからない。何もかもわからないづくし。

相変わらず恩田さんの導入部分は巧いなあと思う。
今回は飲み物が多く登場。私も紅茶派なので
一緒にガブガブ飲みながら最初は読んでいたのですが、
段々夢中になって忘れました。

登場人物たちは、全部ファーストネーム→ファミリーネーム
で登場。なので少し疲れるけど比較的名前が
日本よりなのでそのうちなれてきます。

どのシーンも印象的だったけど、最初に出会うシーンや初めての風、
そしてジュンイチロウ以外も初体験だった「ガッチ」のシーン
(どっちかっていうとその最中よりも向かう時、のが印象的だ)
なんかが強烈なインパクトとともに飛び込んできたと思う。
本当に気分はジュンイチロウと一緒。最後に

ここはネタバレなので反転させます。

ジミー(とんぼめがねってことでハリーポッターなイメージ)が
入れ替わってるんじゃないか、と疑ったときは怖かったな。
あの合言葉を持ってしても(合言葉ってのはいいよねぇ)
なんとなく背中がゾクゾクっとする感じがした。


長くなりそうなので上下巻、感想をわけましょう(笑)

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ぽちっとプリーズ。
posted by minori at 20:55| Comment(2) | TrackBack(5) | 読んだ本など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。コメント&TBありがとうございました。
ほんとにガッチへと向かうシーンは印象的でしたね。
私はもう少しで下巻が読み終わりそうです。
また、遊びにきまーす。
Posted by 玉葱 at 2005年11月07日 20:57
■玉葱さま。

コメントありがとうですー!
ガッチに向かうシーン、そして
下巻での色んなシーン、忘れられない
シーンが多すぎる作品に
なりました。
是非下巻読み終わったら遊びにきて
感想を教えてくださいね〜。
Posted by minori at 2005年11月07日 22:55
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