2008年03月01日

『LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON』潜水服は蝶の夢を見る

瞬きだけで綴る人生とは。

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ぽちっとプリーズ。


潜水服は蝶の夢を見る
潜水服は蝶の夢を見る


私は泳げないので潜水服を着たことがありません。
そんな私がスノーケル(シュノーケル)で海にもぐる機会があって
体験してみたんですが、聞こえるのは自分のあまり統一されていない
呼吸の音だけ。聞こえない、自由に動けない(泳げないので
非常にビミョウな動きです。笑)何だかウマく走れない、夢のような世界。
普通ならば、顔を上げれば、元の喧騒の世界が戻ってきて、
再び自由な自分に戻れる。

だけど、ジャン=ドー、は戻れない。
むしろ逆に自由に歩けたし飛べたのに現実は瞬きしかできないなんて。

彼のショックがどんなに大きかったものなのか、想像を絶する。
死にたい、と言った彼に何が言えよう。
それなのに、瞬きで生きた彼。自伝まで書いちゃうなんて
もう単純に驚くばかり。
それに付き合ったクロードの忍耐力にもびっくり。

現役時代は何だかんだ言いつつ奔放だった彼。
女性にもモテる彼は天性の無邪気さを持っていたと伺える。
でなかったら、子どもたちの母親を前に
「いつでも待ってる」という腐れた台詞ははかないはず。
彼に同情気味だった私もこれにはちょっとヒイたかも(笑)
会いに来ない女に対して優しすぎるのも問題だと思うな。
その点、来たくてもこれないお父さんのシーンは胸が詰まりました。
孤独な父はその点で息子に似ているのかもね、やってきたことも。
それでも憎めない二人なんだよね。
そう、このジャン=ドー。憎めないやつなんだよね。
ユーモアもあって、心の中のヒトリゴトには笑えました。
テレビはせつねぇなぁ、あれは切ないよ。
割と激しい突っ込みしてたりして、ちょっと木更津キャッツアイの
9回の後半を思い出しました。

身体は不自由だけどイマジネーションは無限に広がる。
映像が素晴らしかったね。現実−回想−空想、というつなぎも
違和感なく、むしろしっくりくるくらいにジャン=ドーに入れ込むことが
できました。最初のシーン、眩しいと思うシーンが自棄にリアルで
驚きましたよ。ホントに彼になったみたいでした。

子どもを抱けない、と言ったとき、それが現実になったら
どんなに辛いだろうなぁと胸が詰まる。
最初にあの瞬きをいれることによって私達はジャン=ドーに
限りなく近くまで歩み寄る、つまり、監督は憎らしいほど
ウマい演出で私達を彼の側へと座らせて彼の言葉一つに
深い思いを抱き、笑い、悲しむことが出来たのだ。
お見事でした。

★★★★★ THE DIVING BELL AND THE BUTTERFLY
posted by minori at 21:28| 宮城 ☀| Comment(10) | TrackBack(14) | 映画「さ」行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
もともと彼が瞬きで綴った原作は未読なのですが、
きっと素晴らしい作品なんでしょうが、
それを見事に映像化した監督は確かに見事な演出で
見せてくれましたよね。
Posted by miyu at 2008年03月01日 22:07
minoriちゃん、こんにちはん。
私はいちおDIVERなので、ウェットスーツを着て潜ったことはあるけれど、あれは手足は動かせるからねぇ。
彼の着た潜水服は宇宙服みたいな感じ?
身動きとれずに深海に沈んでいるってすんごく恐い・・・。
そんなどん底感を観客にもリアルに体感させてくれたから、その後の空想力の飛翔が何とも晴れやかに感じられましたよねー。
お見事!
Posted by かえる at 2008年03月02日 10:29
■miyuさまー。

こんにちわ。
私も本は未見です。読めば彼の苦悩がもっと伺うことができそうですね。それでも映像で見れたからイマジネーションの世界に飛ぶことも出来たし、楽しむこともできました。お見事でしたよね。
Posted by minori at 2008年03月02日 10:51
■かえるさん。

ボンジュールです。
おお、そういえばかえるさんは潜りますね。ウェットスーツだとまだ自由がききますもんね。あの潜水服だとそりゃあ動けないでしょうよね。この表現がホントにリアルで、彼の才能を感じますよね。ウィルスの防護服だったら閉塞感はあるにしてもまわりの喧騒は健在だろうし。深海ってところがお見事です。
Posted by minori at 2008年03月02日 10:53
こんにちは。

ぼくは、この映画の
前半から後半への撮影の切り替えが好きでした。
そこには、
自分が想像力と記憶力は自由なのだと気づいた瞬間の喜び、
それを意識した後の視点の変化が
映像で表現されていました。
こういう映画はやはりいいなあ。
Posted by えい at 2008年03月02日 16:28
■えいさん。

こんばんわー、えいさん。
おお、確かに後半のほうが彼のイマジネーションはずっと豊かになっていましたよね。確かにウマい。あざとく感じないのも監督の力量ですよねぇ。こういう映画はいいですねー。
Posted by minori at 2008年03月02日 17:36
コメント有難う〜
そうそうそうでしたね〜前半のあの画面が主人公の瞬きになるシーン。 本人の気持ちに少しでも近づける演出は見事でした。その後ガラスに映った自分の姿に絶望するのが非常にリアルに自分のことのように感じられたのもそのシーンがあってのことだったですよね〜。
本当にお見事でした! 一つ位オスカーあげたかったですよね!(怒)
Posted by マダムS at 2008年03月02日 22:12
ぼんそわっ。瞬き足りなくて遅くなりました;爆
ジャンの目線からカメラ目線に変わる一瞬に私にはとーても感動したのですが、前半だけならまだしも後半部分も予告編ではばっちり見せちゃってるのがたまらなくイヤでして;
ジャンが体の束縛から抜け出して魂が飛翔するところが実は一番の感銘ポイントだったんですー;
それにしても、まちゅーったら目玉の演技、凄すぎー。ますます、牡蠣を一緒に食べたくなったですw
Posted by シャーロット at 2008年03月04日 01:10
■マダムSさま。

コメントがたいっへん遅れて申し訳ありません!

そうそう、あの瞬きは私も一緒にやっているような気分でした。実際ぱちぱちしてたかな(笑)ガラスに映るシーンは何だか自分のことのようにショックでした。ウマかったですね。あれは。

オスカー残念でしたよ。それだけに「つぐない」が気になるところですけど。
Posted by minori at 2008年03月14日 22:24
■シャーロットさま。

こちらこそ物凄い遅い動きになってしまいました。まるで一言一言瞬きで伝えているかのように、ですね。

ああ!予告編。予告編って時々そういう酷いイジワルしますよね。私はたまたま見てなかったのでよかったですけど、そうおっしゃる方結構多いのでホント考えてほしいですよね!

一緒に牡蠣か!くー、私は参加できませんー。牡蠣ダメなんですよー。ってな訳であのシーン面白かったけど一方でかなり苦痛だったりもしたのです(笑)
Posted by minori at 2008年03月14日 22:35
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