2011年05月01日

『A Single Man』

洗練された、素晴らしい映画。アイテムのひとつひとつが引き立ち、
シーンのひとつひとつが印象的。

A Single Man
A Single Man


映画を見終わってからこれが、デザイナーであるトム・フォードの初めての監督作で
あったと知りました。途中でキューバ危機のラジオが流れていることでようやく年代が
つかめたくらい、ジョージの家は洗練されていて、古さを感じないことに驚いた。

服の並べ方、アイテムの置き方、すべてが計算しつくされていて美しい、
その上コリン・ファースのこれまた洗練された演技が憂いを醸し出しその相乗効果で
この映画を完璧にしつくしているよ…。恐るべし、新人監督。
この色調は有名になる前のクリストファー・ノーランを
なんとなく思い起こさせた。彼のデビュー作も相当洗練されていたから。

ストーリーはゲイである英国人教授ジョージのとある一日を追っている。
彼は16年も連れ添ったゲイのパートナーをなくしたばかり。
この日をもって彼もその人生に幕を引こうとしている。

大切な人を失って、彼はもう自分が生きていくことに意味がない、と思っている。
だけど、人と人は色んなところで繋がっていて、彼はそれを深く味わうことになる。
ダークな色調のオープニングに比べてだんだんと明るくなっていく彼の世界。
今は悲しみで打ちひしがれている彼だけど、元々はユーモアのある楽しい人なんだな、
というところが後半でちらりほらりとわかってくる。
この日一日で、彼は何人の人のことを考えただろう…。家政婦、受付のお姉ちゃん、近所の子どもetc
私が一日でこんなに沢山の人のことを考えたこと、あるかな、と思っちゃった。
目を凝らしてみれば、きっと色々なものや人が私達に毎日関わっているわけで、
普段は忙しさにかまけて、そして当たり前なことにかまけて気付かないだけなんだよね。

ジムとの出会いを思い返すシーンや、同じ種類の犬にキスするジョージの姿が切なかった。
こんな繊細な演技を出来る人はやっぱりコリン・ファースくらいしか今考えられないかも。
アメリカにいるブリティッシュという設定もまた面白い。彼の英語はコテコテのブリティッシュではなく、
アメリカ英語と面白い具合にミックスされていたのも興味深い。

ラストのフクロウ、私はあれを見たとき迎えがきたのか、それとも自由になっていいよ、と
言いに来たジムだったのか、と思ったんだけど、まさかそう来るとは…。
ラベル:映画「さ」行
posted by minori at 20:49| 宮城 ☁| Comment(6) | TrackBack(2) | 映画「さ」行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この1日で何人の人のことを考えたんだろう、
っていうminoriちゃんの考察、素敵です。
そうだね。最後の一日と決めたからこそ、
出会う人全てに重みを感じたんだろうね。

コリン・ファースに賞が与えられるというなら、
英国王のスピーチなんかよりずっとこっちの方が素晴らしかったのにな。

犬のシーン、よかったよね。切ないんだけどジョージの思いが溢れてて。
Posted by きらり+ at 2011年05月02日 11:21
■きらりちゃん。

本来ならばいつも色んな人たちと触れ合っているのに、
多分彼はジムとの思い出が濃すぎて、それを決意するまで
そこまで思いがよらなかったんだろうね〜。

私もこっちの演技のほうが好きだったかもしれない。
技術的には確かにキングススピーチのほうが色々要しただろうけど。

犬のシーンはぐっときたよ。せめて犬が残ってくれていればね…。
Posted by minori at 2011年05月02日 21:49
はろはろ。
これは劇場公開されたのん?

こんな映画を撮っちゃうトム・フォードのセンスすてきすぎるよねー。
ホントに、英国王のスピーチのコリン・ファースよりもこっちの方がよかったと思ってしまうー。
こういうふうに意識の流れと回想を重ねる表現、おそらく原作がそんな構成なのかと思うけど、実にうまく、映画的に表現してくれたものだと感激。
うん、犬もせつなかったねぇー
Posted by かえる at 2011年05月03日 08:56
こんにちは〜
キッズオールライトの方にありがとう、

これセンスいいトムフォードならではですよね★
酔いしれちゃった。
次回作楽しみです。
Posted by mig at 2011年05月04日 13:34
■かえるさん。

コメントありがとうでーす。
こっちではミニシアターで上映していましたが、私は見逃しちゃったのでDVDでしたー。

ホントセンスのいい映画だったと思います、これ。
映像で表現しつつ、どこか本を読んでいるような、
深い作品だったと思います。

犬、切なかったですよー…。
Posted by minori at 2011年05月05日 20:47
■migさん。

コメントありがとうございます!
新人監督とは思えない作品でしたねぇ。
ホント次回楽しみだわぁ。
Posted by minori at 2011年05月05日 20:49
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