2006年04月30日

『アメリカ、家族のいる風景』歩み寄りの必要性

どこを切り取ってもアートになる作品を作れる監督は
そう多くないだろうけど、間違いなくヴィム・ヴェンダース
はそういう監督の一人だ。今回の殊にモンタナ州ビュートでの
シークエンスはどれをとっても見事。
チラシになったあのシーンは空と建物の色のコントラストが
抜群で、一目見てあのチラシに夢中になってしまった。
趣味のチラシ集めの醍醐味はこういうチラシに出会ったときの
興奮感。ミリオンダラー・ホテルのチラシも見事だったけど
その場所に今回このチラシが貼られることになったわけなんです。

06-america.JPG

主人公のハワード・スペンス、歯医者みたいな名前の彼は
いい年になって色々と人生について考えて、馬を道連れに
撮影をエスケープ。全くもって勝手な男な訳です。でもなんだか
憎めない感じもするけど実際私だったら怒っちゃうよね、アールのように。

人間ってわからないもんだよね。どこでどう人の人生が
始まって、そしてどれだけ繋がっているかわからないんだもん。
ハワードも突然現れた自分の糸にびっくりしちゃったんだね。
でも人生そんなに甘くない。美味しいところだけ持ってくことは
できないわけで正面から見つめなくてはならないときもある。
彼はそれが苦手だったんだな、どうも。それでもラストはそれなりに
向き合おうとしてたし、相手側からのアプローチもあったから
ハッピーエンドでよかったよ。未来があるからね。
でもドリーン側からしてみればちょっと都合がいいよな、
と思わずにはいられない。
一人で子どもを育ててきたドリーンやスカイのママ、それから
ハワードのママ、女性陣は強いわよね。強い。逞しい。

息子のアールのリアクションは当然だよね。不器用なところが
パパそっくり(笑)それにしても歌が暗い。暗いけどその歌がまた
父にぴったりでいいんだよねぇ。このガブリエル・マン、どこかで
見たことがあると思ったら『プッシーキャッツ』で私が惚れた
彼、アラン・Mではないですか!っくー、こんな作品に出るように
なったんだねぇ。ふむふむ。このアールって名前、いいなぁ、と
思ったんだけど日本人には難しい発音です。

一方、寡黙ながらしっかり言うことは言えるスカイもよかった。
彼女は父の姿をインターネットで追い続けた芯の強い寂しい女性。
それにしても同じ時期に生まれたのかしら…ハワードったら…。
彼女のお母さんも苦労したんだろうね。写真のお母さんは
実際亡くなったサラのママなんだそうですね。

お話にちょっと異色な味を添えつつそれでもメル・ギブソンみたいに
浮かなかったのが今回のティム・ロス。
いらないような髭剃りもクッキーもポテトもなぜか心地良く(笑)

ヴィム・ヴェンダース、初期の頃に比べて何となくふんわりした
空気を感じました。ところどころにクスっとさせるシーンが
あるせいかな。ラスト、『シェーン』っぽかったし(笑)
それでも「未来」を感じるラストにほっこりとした気持ちに
なりました。


banner_03.gif
ぽちっとプリーズ。
ラベル:映画「あ」行
posted by minori at 18:58| Comment(16) | TrackBack(21) | 映画「あ」行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは〜!
TB&コメントありがとうございました。
こういうロードムービー的な作品は結構好きです。
そうそう、まるでラストは「シェーン」!
馬にまたがりヒヒーン♪が個人的にはツボでした。(^^ゞ
とても時間の流れが壮大さある自然とマッチしてゆっくりに感じられ、どこか人との関わり合いに疲れた現代人のオアシス的に感じられる映画でした。
また遊びに来ます♪
Posted by charlotte at 2006年04月30日 21:47
■charlotteさま。

コメント&TBありがとうございます!
私もロード・ムーヴィは大好きです。
ヴィムの『パリ、テキサス』はホントに
映画見てよかったなーと思えた作品でしたよ。
これも好きですー。
ラストはホント、クスっとしちゃうくらい
「シェ−ン」でしたよね。
人っていろんなところでつながってるんですよね。
私もほっこりした気分になれましたー。

私も遊びにいきますね!
是非また遊びにきてください〜。
Posted by minori at 2006年04月30日 22:57
はじめまして、ねむりねこと申します。TBしました。
あのビュートっていう町、いいですね。ハメットゆかりの町らしいですね。
実は、ガブリエル・マンを密かに応援しているのですが、いまいち存在感の薄いのが気になります。美しさがあだになってるのでしょうか?
また寄らせていただきます。
Posted by ねむりねこ at 2006年05月03日 03:30
■ねむりねこさま。

こんばんわ、はじめまして!
TB&コメントありがとうございますー。

ビュート、なんとなく過ごしやすそうな
町でしたよねぇ。いい感じでした。
お、ねむりねこさまはガブ君すきですか!
それはそれは!結構ヒゲによってイメージ
かわりますよねぇ。
ライフ・オブ・デビッド・ゲイルでも
カッコよかったですよねぇ。
だいじょぶ!これからガンガンでますよ!
是非また遊びにきてください。
私もお伺いしますね。
Posted by mnori at 2006年05月03日 19:46
ドモドモー♪
先日は、TB、コメントをありがとうございました。

良い映画でしたよねー・・・
時が止まったような静けさと何処か昔の匂いが残るビュートの町。
ひとコマひとコマが絵になるような、特にチラシのフォトは最高ですね。
>メル・ギブソンみたいに浮かなかったのが
これ、確かにそうです!!笑
突拍子も無い行動に見えるけど、全く違和感無く物語に溶け込んでましたね。
ちょっとした小道具も洒落ていて、何だか皮肉なのかそうで無いのかよく分からないあやふやさがツボでした。ウフ
Posted by Puff at 2006年05月04日 09:57
■Puffさん♪

こんにちわー。コメント&TBありがとう
ございましたー。

ホントこの映画、絵になりますよねぇ。
チラシのシークエンスはいつでるんだろうーと
楽しみでしたもんね!ホントこの
シーンは好きです。

メル。前回明らかに浮いてましたもんね(笑)
今回はぜんぜん違和感もなく(ちょっとあった
けどそれもまたよし!)
溶け込んでた今回のティムさんは正解
でしたよねぇ。

あのギターとマンホールのフタみたいなのを
使った演奏、よかったですよね〜。
なんかうっとりです。
Posted by minori at 2006年05月05日 16:02
TB&コメント ありがとうございました。
>ハワードも突然現れた自分の糸にびっくりしちゃったんだね
こんがらがってしまった糸が急に解れ出したり、切れたと思っていた糸が細くなったまま繋がっていたり、人生って何がどうなるか自分でも分からないものですよね。
個性的なキャストが上手く調和して、とっても良い雰囲気を醸し出していたと思います!
Posted by 哀生龍 at 2006年05月08日 20:18
■哀生龍さま。

こんばんわー。コメント&TBありがとうございます!
本当に人生ってどこでどうなるかわからないし、
ちょっとしたことで繋がってる糸があるかと
思うと面白いもんですよねぇ。
キャスト全員見事に調和していてよかったですね。

ぜひまた遊びにいらしてくださいね♪
私もお伺いします。
Posted by minori at 2006年05月08日 20:33
はじめまして。
拙ブログにTB&コメントをありがとうございました。
こちらからもお返しさせていただきますね。

街の風景の一つ一つが、ホント綺麗で美しい。
監督のセンスに脱帽な映画でした。
Posted by azuki-m at 2006年05月09日 02:22
■azuki-mさま。

こんにちわ。
コメント&TBありがとうございます!

前のパリ、テキサスの時もそうでしたが
この監督さんはホント景色の捉え方が
いいですよねぇ。ミリオンダラーもストーリーは
ともかく風景はよかったし。

ぜひまた遊びにきてくださいねー。
Posted by minori at 2006年05月09日 09:00
はじめまして、TBありがとうございました!
あのエドワード・ホッパー風のビジュアル、良いですよね。ポスターが出てたら欲しいなあ、と思ったのですが、ハワードとスカイが抱き合ってるポスターしかなくて残念でした。
作品そのものもそのビジュアル通りの美しさ、寂しさで。今年有数のお気に入り作品です。
Posted by Ken at 2006年05月09日 23:38
■kenさま。

こんにちわ!
コメント&TBありがとうございます!
あのチラシはホントいいですよねぇ。
そうそう、ポスターはちょっと違うんですよね。
このポスターなら絶対ほしいですよー。
しょうがないので今はチラシを飾ってます。
ビジュアルの美しさは文句なしですねー!

ぜひまた遊びにきてくださいね。
私もお伺いします。
Posted by minori at 2006年05月10日 11:00
こんばんは。TB、コメント、どうもありがとございました。
いい映画でしたよね〜。ヴェンダースのアメリカへの愛情がいたるところに感じられる映像でした。若者たちに希望が見えるラストがよかったです。最初は???だったアンバーが実はとても魅力的って思えたのが印象に残っています。
また、お邪魔させていただきます。
Posted by あしあと at 2006年05月11日 00:22
訪問ありがとうございました。

アメリカっぽさをヴェンダーズが描いたところも面白い部分でしたね。全体がポスターみたいで、雰囲気で楽しめる貴重な作品だと思います。
『シェーン』!あの空と山を思い出しますよね。
これからも宜しくお願いします。
Posted by yanks at 2006年05月11日 09:45
■あしあとさま。

こんにちわー。
コメント&TBありがとうございます!
ホント希望に満ちたラストはよかったですよね。
アンバー、なかなかいいヤツでした。
見た目で「うえー」と思わないように
しないとなぁ、と思っちゃいましたよ。

ぜひまた遊びにいらしてくださいね。
お待ちしておりますー。
Posted by minori at 2006年05月11日 13:55
■yanksさま。

こんにちわー。
コメント&TBありがとうございます!
先日は間違った名前で入力してしまった
minoriです。どうぞよろしくお願いします。

乾いた空気や町の匂いまでなんとなく
想像できてしまう美しい映画でしたよね。
雰囲気だけでも大好きですー。

ぜひまた遊びにきてくださいね。
お待ちしておりますー。
Posted by minori at 2006年05月11日 13:59
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